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CDI開発ルーム始めます

電装についている黒い箱CDI。点火を制御しているらしいということまでは知っていても、中がどうなっているのか、変えると何が起こるのか良く分からない、まさにブラックボックス。弊社でもオリジナルCDIを開発をし、製品化を検討していますが、せっかくなのでCDIの開発過程で分かったことなどを少しずつ公開して行こうと思います。点火時期を変えるとどうなるのか、各社CDIの点火時期がどうなっているのかなどについてもデータを取って公開していく予定なのでお楽しみに!!

CDI開発のきっかけ

CDI開発のきっかけは、DE耐でご一緒させていただいた方のリクエストが最初のきっかけです。その方は激戦の鈴鹿のミニモトSTに参戦しているのですが、STはレギュレーションで変更できるパーツが実に少ない。だからこそ腕の勝負になって面白いとも言えるのですが、その数少ない変更可能パーツのなかにCDIがあります。この部分でオリジナルの物を作ってアドバンテージが出せないかということで、少し検討をすることにしました。

いろいろ検討した過程は省略して、こんなCDIがあるといいなと考えたのが以下の仕様。

・ ユーザー(チューナー)がパソコンから簡単に進角マップを書き換えられること。

  マフラー特性やエンジンのチューニング特性によって最適な進角マップは変わってくるはず。キャブセットをするように進角セッティングが出来ないかということです。ピックアップのタイミングよりも進んだ進角設定を可能にするために、CDIはいわゆるデジタルCDIになります。どちらかというと、仕掛けの分かったチューナーさんが欲しいと思う機能かも知れません。そういう機能を持ったCDIはすでにいくつか販売されていますけどね。

・ 純正CDIと同じ大きさ。

  他社CDIを載せる時にいつも困るのが置き場所と固定の問題です。ただでさえ狭い空間に大きなCDIを押し込むことに苦労した人は多いと思います。純正CDIと同じ大きさであれば、載せかえは簡単。考える必要がありません。

・ 点火タイミングのばらつきが小さいこと。

  せっかく細かな設定をしても、点火タイミングの誤差が大きくてはあまり意味がありません。デジタルCDIではここを安定化させるのは結構難しい感じなのですが...。

・ 壊れにくいこと。壊れる時ははっきり壊れること。

  壊れないに越したことは無いのですが、CDIは高電圧の厳しい環境で動作するので、壊れることもあります。その時は微妙に調子が悪いという壊れ方では、問題の解決に時間がかかってしまいますので、できれば明らかに壊れたと分かる壊れ方をして欲しい。

・ あまり高価でないこと。

  安価なこと、と書けない所がちょっと消極的ですが、安い方がいいですよね。

というわけで、CDIの開発を始めています。こんなものを欲しいと思う人がいるのだろうかという気持ちもあり、けどこれが出来るとちょっと面白いかもという気持ちもありといったところです。ご興味のある方がおられましたら、ご意見、ご感想などお寄せください。

進角チェッカー

CDI開発の過程で作製したのが、進角チェッカー。ピックアップと点火パルスの間隔を計測することで、各回転数における点火タイミングを算出します。オリジナルCDI本体の回路をちょっといじって作りました。ホンダのXR100やAPE100限定のチェッカーですが。

測定方法はCDIのハーネスに測定したいCDIとチェッカーを接続してエンジンをかけます。低回転から高回転に向けてゆっくりと回転を上げていきます。XR100のノーマルの場合は約2000rpmから12000rpmくらいまで。その範囲で約2000〜3000ポイントくらいのデータをとります。チェッカーからは点火タイミングのデータが常に出力されており、それをノートパソコンで取得してエクセルで回転数、進角のデータを計算します。計測とデータ処理にかかる時間は約10分。

いろんなCDIを調べてみると、面白そうです。

点火タイミング測定データ(XR100純正CDI)

進角測定の第1弾です。XR100モタード純正CDIの点火タイミング測定データです。

XR100純正CDI点火タイミング(PDFファイル)

低回転時は遅角(2000rpmで上死点前20度)しており、3500rpmくらいまでは回転数に比例して徐々に進角していきます。上死点前34度付近まで進角した後は、12000rpmに向けて少しずつ遅角しています。

点火タイミング測定データ(APE50純正CDI)

進角測定の第2弾はAPE50です。CDI自体もXR100と比較してひとまわり小さい大きさです。

APE50純正CDI点火タイミング(PDFファイル)

XR100に見られたような低回転の遅角はありません。低回転の進角は約33度、高回転に向けて徐々に進角して行き、12000rpmで約35度となっています。レース用途を考えると、始動性や低回転時の安定性はあまり考慮する必要は無いので、高回転に向けて徐々に進角が進んでいくAPE50のCDIはファインチューンとしては良いかもしれません。

点火タイミング測定データ(銀ポッシュ)

社外CDIのメーカーとして有名なCFポッシュ。レーシングCDIスーパーバトル(通称銀ポッシュ)の点火タイミングです。

銀ポッシュCDI点火タイミング(PDFファイル)

このCDIも低回転の遅角は特にありません。低回転の進角は上死点前35度。そこから12000rpm約37度までほぼ直線的に進角していきます。APE50の進角カーブを2度ほど進角側に平行移動させたようなカーブとなっています。

点火タイミング測定データ(金ポッシュ)

同じくポッシュ社のスーパーバトルSPです。金色の筐体から金ポッシュとも呼ばれています。ディップスイッチで進角を6段階調整できますが、調整範囲は銀ポッシュよりも遅角側のみとなっているようです。

金ポッシュCDI点火タイミングMap1(PDFファイル)

金ポッシュCDI点火タイミングMap6(PDFファイル)

Map1が最進角の設定で上死点前35度のフラットな点火カーブになっています。一方、Map6は最遅角の設定ですが、点火タイミングは上死点前34〜34.5度で、こちらもほぼフラットな特性です。6段階で1度くらいしか進角が変わらないのでは、中間の設定では違いが良く分からないかもしれませんね。

点火タイミング測定データ(デイトナパワーアドバンスMap-O)

デイトナ社のデジタルCDIパワーアドバンスの点火タイミング測定データです。ケーブルの接続により、4種類のマップから選ぶことが出来ますが、オレンジのみを接続した最進角のマップです。

パワーアドバンスCDI点火タイミングMap-O(PDFファイル)

ノーマルCDIの進角から10度近くも進角しているのにエンジンは全く問題なく回るんですね。4000rpmまではアイドリングの安定のために、デジタル進角制御が行われていません。特徴的なのは、これまで測定してきたアナログCDIと異なり、同じ回転数でも点火のタイミングが大きくばらついていることです。

デジタルCDIはピックアップの信号よりも進角(ピックアップ信号よりも前に点火すること)出来ることが特徴ですが、これは、直前の数個のピックアップ信号を元に回転数や進角をマイコンで計算して、次に点火すべきタイミングを予測するという仕掛けになっています。

ところが、XR100のエンジンのようにピックアップ信号が1回転に1回しか出てこないタイプのエンジンでは、計算のベースとなる回転数を正確に知ることが実は結構難題です。4サイクルのエンジンの場合、吸気圧縮のサイクルと、燃焼排気のサイクルの2回転で1工程となりますが、圧縮抵抗を受けながらの前者のサイクルと回転が加速する後者のサイクルでは当然1回転に要する時間が異なります。さらに、回転上昇中なのか下降中なのか、エンジンにかかる負荷の大小などさまざまな要因で1回転に要する時間が刻々と変化します。つまり、例えば6000rpmといっても、それはあくまでも平均値で、1回転ごとにかかる時間にはかなりのばらつきがあるということです。このように計算の元となる回転数(1回転に要する時間)がさまざまな要因でばらつくために、点火タイミングもそれに影響されてばらついてしまうことになります。

この点火タイミングのばらつきをなくすにはどうすればよいかというと、ひとつの方法は、クランク1回転の間に複数のピックアップ信号が出力されるようにすることです。インジェクションなど電気的な進角調整が行われることの多いマシンではフライホイールに複数の磁石が埋め込まれている構造になっていますが、点火直前のピックアップ信号の間隔がわかれば、かなり正確に回転数を割り出すことが出来るので安定した点火タイミングを実現することができます。

点火タイミング測定データ(デイトナパワーアドバンスMap-O/P)

デイトナ社のデジタルCDIパワーアドバンスの点火タイミング測定データです。オレンジと紫を接続したマップです。

パワーアドバンスCDI点火タイミングMap-O/P(PDFファイル)

4000rpmから7000rpmあたりの進角が前出のMap-Oと比較して緩やかです。高回転側の進角についてはばらつきの影響もあって余り違いが無い様にみえます。

点火タイミング測定データ(デイトナパワーアドバンスMap-P)

デイトナ社のデジタルCDIパワーアドバンスの点火タイミング測定データです。紫のみを接続したマップです。

パワーアドバンスCDI点火タイミングMap-P(PDFファイル)

35度から37度にかけて緩やかに進角していくような比較的フラットなマップです。APE50純正を全体的に2度ほど進角させたようなイメージです。デイトナプログレスCDIに近い設定だとマニュアルには書かれてあります。

点火タイミング測定データ(デイトナパワーアドバンスMap-接続なし)

デイトナ社のデジタルCDIパワーアドバンスの点火タイミング測定データです。最後は接続なしのマップです。

パワーアドバンスCDI点火タイミングMap-接続なし(PDFファイル)

スペックでAPE50純正に近いと書かれているマップです。確かに傾向はほぼ一致しています。点火タイミングのばらつきはありますが。